感染学校~死のウイルス~
辻本先生はその場に段ボールを置くと、「いなかった……」と、呟くように言ったのだ。


「いなかったって、誰がですか?」


森本先生が更に聞く。


「拘束していた生徒が……いなかったんだ」


辻本先生は放心状態でそう呟いた。


「いなかったって、どういう事だよ」


アラタ先輩がそう聞く。


「わからない……。でも、ロープは千切られていた」


その言葉にあたしは目を見開いた。


体にグルグル巻きにされていたロープが千切れていた?


普通の生徒の力がそんなこと到底無理だ。


ロープを千切るなんて、それこそ保健室で見たような光景だ。


「なんで、そんな事になっていたんですか?」


混乱したようにそう言ったのは田井先生だった。


「わからないです。だけど、想像では……」


そこまで言い、口を閉じ辻本先生。


「……想像では、2階にいた自殺死体は感染していた?」


そう続けたのは祐矢先輩だった。
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