感染学校~死のウイルス~
アラタ先輩は何度か大きな欠伸を繰り返し、そして立ち上がって出口へと向かった。


「どこに行くんだ?」


祐矢先輩がそう聞いた。


「便所」」


アラタ先輩はそれだけ答えると、音楽室を出て行ってしまったのだった。


アラタ先輩がいなくなった瞬間、音楽室の中は静けさに包まれた。


誰か、なにか話をしてくれれば気がまぎれるのにと思うのに、自分から話しかける事もできなかった。


床に寝そべり、ぼんやりと天井を見上げる。


微かな呼吸を繰り返しながら何も考えずにいると、自分が死んでしまったような感覚になった。


ほんと、いっそ、このまま……。


そう思ったときだった、祐矢先輩が立ち上がったのであたしは視線を移動させた。
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