感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

放送室は本館の2階にある。


あたしたちは渡り廊下を渡って本館へと戻った。


すぐに右へ曲がり、2年生の教室とは逆方向へ向かった。


その先には放送室の他に生徒会議室や、文化祭などのイベントに使うための道具を収納している教室がある。


ほぼ生徒たちで使うための教室だ。


「誰もいないような雰囲気だな」


歩きながら、辻本先生がそうつぶやいた。


寒気がするほどの静寂だ。


教室のドアはどこも開け放たれていて、中には机がひっくり返っていたりする。


感染者と格闘をした形跡なのか、血がこびりついている教室もあった。


なにも聞こえて来ないだけで、他の生き残りたちの逃げ惑う悲鳴は確かにあったのだ。


その現場を見てあたしは言い知れない罪悪感を抱いていた。


あたしはなにもしてあげられなかった。


ずっと体育館にいて気づいてあげる事もできなかった。


その時だった。


ドアが閉まっている教室から、微かな物音が聞こえて来た気がしてあたしは立ち止まった。


生徒会議室だ。


そこは教室より一回り小さな部屋だった。


各学年の委員長たちが集まり、学校のイベントや問題について話し合いをする教室。
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