感染学校~死のウイルス~
「どうしたの?」


立ちどまったあたしに気が付いて、空音もおなじように立ち止まってそう聞いて来た。


「なにか音がする」


あたしは小声でそう言った。


もし感染者だったら、襲われてしまうかもしれない。


バッドを握る手に力を込める。


「それなら俺が行く」


辻本先生がそう言い、あたしの前立った。


「で、でも……」


あたしが気が付いたことで辻本先生を危険な目に合わせるのが嫌で、たじろいてしまう。


「いいから、少しどいてろ」


辻本先生はそう言うと、ドアの前に立って深呼吸をした。


『気を付けて!』


そう言いたかったけれど、不安が大きくて言葉にならなかった。


辻本先生がドアに手をかける。


そして、思いっきり開いた……。


瞬間、物音が鮮明に聞こえ始めた。


ギッ……ギッ……と、木のベッドがきしんでいるような、なにかがこすれ合っているような音。


ギッ……ギッ……ギッ……ギッ……。


それは定期的に乱れることなく続いている。
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