感染学校~死のウイルス~
アラタ先輩を追いかけてあの教室に入り、そして好きな人の死体を見つけた祐矢先輩は一体どんな気持ちだっただろうか?


あの冷静な祐矢先輩が発狂し、泣き叫んだかもしれない。


そして、彼女と同じ場所で同じ方法で自殺することを選んだんだ。


悲しい気持ちのまま歩いていると、不意に廊下に血が付いている事に気が付いた。


「おい、この先は……」


辻本先生がそう言い、立ち止まった。


廊下の前方へと視線を向けてみるとあちこちに血が飛び散っている。


それだけじゃない。


争ったあと絶命してしまった生徒たちの死体が転がっているのだ。


足が逆を向いていたり、眼球がこぼれ出たり、体中原型がないほど傷つけられたりしている。


「うそでしょ、なによこれ!」


森本先生が叫ぶ。


「みんな、ここにいたんだ……」


そう言ったのは辻本先生だった。


体育館にいた生徒よりも多くの生徒たちが、2階の奥に集まっていた。


だから感染者はここに引き寄せられて、これほどの惨劇が起こったのだ。


あたしたちは何度も2階に足を運んでいたけれど、2階をくまなく探したりはしていなかった。


クラスがある教室内ばかりに気を取られて、こっちに生徒たちがいる事に気が付かなかったんだ。
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