感染学校~死のウイルス~
あたしはそう呟いた。


外まで声が聞こえてきていたのは、森本先生の声と生徒たちのボソボソと呟く小さな声が重なっていたもののようだ。


なにか楽しいことでもしているのかと思ったけれど、とんだ検討違いだ。


かといって、困っている森本先生を見てしまったあたしたちは、そのまま教室へ戻ることはできなかった。


「あの、先生」


思い切ってドアを開け、森本先生に声をかけた。


森本先生はハッとした顔を浮かべてこちらへ視線を向けて、あたしたちをみるとホッとしたようにほほ笑んだ。


「中山さんと塩田さんね。どうかしたの?」


「いえ、あたしたちはどうもしてません。ただ、保健室の様子が気になって覗いたんですけど……これ、どうしたんですか?」


周囲の生徒たちはあたしと空音が保健室へ入って来たことにも気が付いていない様子で、ウロウロ歩き回ったり、ボソボソと何かを呟いたりしている。


「それが、あたしにもなにがなんだか」


森本先生はそう言い、ため息を吐き出した。


「先生にもわからないんですか?」


空音がそう聞く。


「そうね……でもこの子たちの共通点はわかるのよ」


「共通点、ですか?」


あたしは首を傾げた。
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