感染学校~死のウイルス~
だけど、これだけで普通じゃないことは理解できた。


保健室に一歩足を踏み入れてみると途端に異臭が鼻孔を刺激した。


掃除前のトイレの匂いがする。


ベッドに近づくとその匂いは更に強くなり、4つあるベッドのすべてが糞尿で汚れていることがわかった。


「うぇ。なにこれ」


空音が鼻をつまんで顔をしかめる。


あたしも、急速に食欲が奪われていくのを感じ、すぐに保健室を出てドアを閉めた。


「ベッドの上に排泄物があったよ」


空音が顔をしかめたまま言った。


「そうだね。それにあのロープ、引きちぎられたようになってたよね。生徒たちを保健室に拘束してたのかな」


「嘘、森本先生がそんなことする?」


「するとは思えないけど、あの生徒を見たでしょう? みんな本当に自殺しそうな勢いだったじゃん。


もしかしたら、自殺を止めるために拘束したのかもしれないよ」


「そうだとしても、トイレにも行かさないなんておかしいよ」


空音の言葉にあたしは返事ができなくなった。


たしかにその通りだ。


いくら自殺を抑制するためだとしても、ベッドの上に垂れ流しにさせるなんてやり過ぎだ。


森本先生はそんな人だったのか?


そんな不安と恐怖が浮かんで来る。


それに、もう1つ気になることがあった。
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