感染学校~死のウイルス~
あたしは外の綺麗な空気を吸い込んでもう一度ドアを開けた。


「ちょっと愛莉!?」


「空音は外で待ってて」


あたしはそう言うと、息を止めて保健室へと足を踏み入れた。


散乱したロープに血がついている。


これは生徒たちが無理やり引きちぎった時に怪我をしたんだろう。


でも、こっちは……。


ベッドに近い床には所々血がついている。


真下へ落ちたのではなく、飛び散ったような血の形跡があるのだ。


「これ、どうしてこんな風についたんだろう……」


あたしはベッドの付近に付着している血に首を傾げた。


カーテンや床、ベッドのシーツなど、あらゆるカ所に血の飛び散りがある。


誰かが出血しながらダンスを踊らなければ、こんな広範囲に血がつくことはないはずだ。


だけど、そんなことがあったとは思えない。


その時だった。


「うぅ……」


小さなうめき声が聞こえてきてあたしはハッと息を飲んだ。
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