感染学校~死のウイルス~
いつでも優しくてお姉さんのように生徒を守ってくれていた森本先生だ。


「愛莉、とにかくここを出ない? 匂いはきついし話ができないよ」


空音にそう言われて、あたしは先生の体を支えて立ち上がらせた。


2人で両脇を抱えてゆっくりとドアへ向かう。


「ごめんなさいね、あたし、先生なのにこんな……」


「何言ってるんですか。森本先生がこんな風になるなんて、普通じゃないですもん」


あたしはそう返事をして、ようやく外まで移動した。


どこか別の場所まで移動しようかと思ったが、森本先生の震えが止まらないようなので一旦廊下に座ってもらった。


空音と2人で森本先生を挟んで座ると、昨日の放課後の出来事を思い出した。


あのおさげの子は大丈夫だったんだろうか?


「何から話せばいいのかわからないけれど……」


そう言いながらも、先生はゆっくり話し始めた。


朝から自殺願望を抱いている生徒が保健室に集まり始めた。


それだけでも今日は異質な日の始まりだと言う予感はあったらしい。
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