感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

職員室へ向かいながらも森本先生はキョロキョロと周囲を警戒していた。


保健室にいた生徒たちがどこにいるのか、怯えながら探しているのがわかった。


先生をそれほどまで脅かすなんて、そうとう恐ろしい事になっているに違いない。


けれど校舎内の景色はいつもと変わらず、あちこちから楽しげな笑い声が聞こえてくる。


渡り廊下で別館へと向かい、職員室のドアを開けた。


瞬間、森本先生が立ち止まったのであたしはその背中にぶつかってしまった。


「先生、急に立ち止まらないでくださいよ」


鼻の頭をさすりながら文句を言うが、森本先生は振り向かない。


「森本先生?」


そっと声をかけると、突然その場にうずくまり嘔吐し始めた。


突然の事で思わず悲鳴をあげて森本先生から遠ざかる。


その瞬間……見てしまった。


職員室の中、血まみれになって倒れている数人の先生の姿を。


「なによこれ!!」


景色を見た瞬間、空音が声を張り上げる。


職員室の床にはプリントや教科書などが散乱し、大きな机はなぎ倒されている。


その中で数人の先生が倒れているのだ。


スーツ姿だから先生だとわかったけれど、その顔はどれも原型を留めないほどに破損されているのがわかった。
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