感染学校~死のウイルス~
なにが起こっているのかわからないし、不安で胸は一杯だった。


図書室の窓にもシャッターが下りていて出られる気配はないし、完全に閉じ込められてしまっている。


だけど、それ以上に気にかかることがあった。


校長と数人の先生たちの行動だ。


まだシャッターが下りる前に、校長たちは学校の外へと逃げていたように見えた。


あれは一体どういう事なんだろう?


まるで、こうなる事を予想して動いていたように見える。


もしかしたら校長は職員室で殺されている先生たちを見つけ、自分たちだけ脱出したのかもしれないと思った。


でもそれだけなら、学校を封鎖してしまう理由にはならないのだ。


考えてもわからなくて、あたしは強く頭を振った。


その時だった。


森本先生が「ありました!」と、声を上げた。


生徒たちの視線が森本先生に集まる。


森本先生の手には分厚い歴史書が見えた。


こげ茶色の表紙が日焼けして薄くなっている。


『歴代感染病』と書かれているのが唯一読めた。


「それだ!」


辻本先生が森本先生へと駆け寄り、2人は長いテーブルの上で本を広げた。
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