感染学校~死のウイルス~
随分埃が被っていて、開いただけで周囲にいた生徒たちがせき込んだ。


「感染病って……?」


あたしはそう呟き、空音と目を見交わせた。


「どういう事だろうね?」


どうしてこの場で感染病の本を取り出して読んでいるのか。


そんなもの必要ないはずだ。


そう思うけれど、逃げて行った校長たちの姿を思い出すと何も言えなかった。


職員室で死んでいた先生たち。


逃げていく校長。


開かないシャッター。


感染病。


それらの単語が絡み合い、結ばれていく。


「まさか、嘘でしょ?」


あたしは思わずそう呟き、席を立って森本先生の横から本を覗きこんだ。


開かれていたページには今から約1000年前に流行した史上最悪とも呼べる感染病について書かれていた。
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