感染学校~死のウイルス~
「急に気分が悪くなって……」


女子生徒の元にかけよると、ショートカットの彼女はそう言った。


「辻本先生、これって……」


「もしかしたら、感染しているのかもしれない」


真剣な表情でそう言う辻本先生。


これだけの人数が同時に感染しているなんて……。


教室内を見回し、空音が青ざめる。


「まだ感染していると決まったわけじゃないし、とにかくこの人たちをどうにかしなきゃ」


あたしはそう言った。


しかし、具体的にどうすればいいのかわからない。


万が一感染していた時の事を想定しても、この状態で体を拘束するのははばかれた。


「……仕方ない、全員保健室へ移動させよう」


しばらく考え込んでいた辻本先生が意を決したようにそう言った。


「全員を、ですか?」


空音が聞き返す。


保健室には10人も入る余裕はない。


それに、保健室は血と糞尿にまみれている状態だ。


「あたしたち、それでいいです」


ショートカットの女子生徒がそう言った。


「俺も、保健室にいたほうがなんか安心するかもしれない」


近くにいた男子生徒もそう言った。


本人たちがいいというなら、否定する理由はない。
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