感染学校~死のウイルス~
「このカーテンは分厚いし、きっと万能よ。夜は布団になって、昼間は仕切りになるんだから」


森本先生は明るい口調でそう言った。


そういわれれば確かに役立つアイテムかもしれない。


だけど、それを準備しておくと言う事は、いつここから出られるかわからないと言う事を意味していた。


2階へ上がって体育館を見下ろすと、男子生徒たちが手分けをしてマットを運び出している様子が見えた。


蛍光灯の光でホコリがまいあがって見えて、思わず顔をしかめる。


あのマットを干している光景は入学してからまだ見たことがない。


でも、それを言えばこのカーテンだってそうだ。


年に一度の大掃除の時くらいしか、洗濯などはできないだろう。


脚立に乗って手分けをして外していくと、随分と大きいことがわかった。


これならここにいる生徒全員分の掛布団になりそうだ。


女子生徒たちでカーテンを運んで体育館へと下りて行くと、そこにはすでに10枚のマットが用意されていた。


1つのマットの大きさは1人が横になれるくらいだ。


「マットの数はこれで全部だ。全員が使えるわけじゃないから、不平等にならないように使ってくれ」


辻本先生がそう言った。
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