感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

それからあたしたちは体育館へと移動した。


生徒たちが体育館へ移動する間はたいていおしゃべりの時間になる。


しかし、今日ばかりはみんな静かだった。


他のクラスの生徒と鉢合わせをしても、挨拶をかわす程度でおしゃべりに花が咲く事はなかった。


無言のまま体育館へ入り、整列する。


1年生だけではなく、2年や3年も参加しているようで体育館の中はムッとした熱気に包まれていた。


窓やドアはすべて開放されているが、それだけではこの熱さはしのげなさそうだ。


ただでさえ、精神的に混乱している中での長期間の説明は難しいと判断したのだろう、すぐに校長が出てきて説明を始めた。


渋田さんが自殺をしたのは昨日の放課後のことだった。


いつもは施錠されている屋上が、昨日は清掃のために開けられていた。


清掃員が道具を取りに車まで戻っている間に渋田さんは屋上へ出て、そこから飛び降りたのだそうだ。


渋田さんの生活態度や成績に問題はなく、明るい生徒で自殺するような要因は見当たらない。


だけど、渋田さんの言動に付いて少しでもなにか気にかかることがあったりしたなら、すぐにでも教えてほしい。


渋田さんの自殺の原因を誰かに押し付けるつもりはない。


人が1人亡くなっているということをしっかりと受け止めてほしい。


校長の話はそんな感じだった。
< 8 / 284 >

この作品をシェア

pagetop