秘めた想いが実るとき
『近所の村上さんの知り合いの息子さんなんだけどね。日取りも決めちゃったからよろしく頼んだわよ』
「ちょっと待ってよ。お見合いってどういうこと?」
頭の中がパニックなんですけど。
村上さんの知り合いの息子って誰なのよ!
どうして、そんなことを勝手に決めるのよー。
『あんた、いつまで経ってものらりくらりしてるんだもの。これは母さんが段取りしなきゃいけないでしょ』
「いやいや、そんな勝手に決められても困るし」
『だったらお見合いの日までにいい人を見つけられるの?それだったら考え直すけど、絶対に無理でしょ』
そんな簡単に相手を見つけられるなら苦労はしないって。
分かってるのにそんなこと言わないで欲しい。
『ということで、お見合いは来週の日曜の十四時だからね』
「来週って……この日曜じゃん!横暴だよ」
壁に掛けてあるカレンダーを見て驚愕した。
『じゃあ、詳細はまた連絡するわね』
「あ、お母さんちょっと……」
ツーツーツー、むなしく電子音が響いた。
言いたいことだけ言って電話を切ってしまった。
お見合いって、どうしたらいいのよ。
誰か嘘と言ってよ……。
私はその場で項垂れた。