秘めた想いが実るとき

パニックになっている私をよそに、先輩は言葉を続けた。

「それから何となく君のことが気になっていたんだ。でも、いきなり声をかけたら引かれるかな?とか思ったら結局何も出来なかった。さっき、二年の子に呼び止められて、俺に話がある子がいると言われてここに来たら君がいた。まさか、告白してもらえるとは思わなかったから驚いたけど、すごく嬉しかった」


え、気になってるって何?
私の告白が嬉しいってどういうこと?
今の状態が信じられなくて、ポカンとしてしまう。


「こんな時に言うのもどうかと思ったんだけど、後悔したくないから言う。卒業してあまり会うことは出来ないかも知れないけど、会えるように努力する。だから、俺と付き合って欲しい」

真っ直ぐに私を見つめる。

突然の告白に頭が真っ白になった。
だって、先輩が私のことを知ってくれているとは思っていなかった。
それに、まさか付き合って欲しいと言われるなんて……。

ホントに付き合うとか、そんなおこがましいことは考えていなかったので、どう反応していいのか困った。

「ダメ、かな?」

不安そうな顔で私を見る。
好きだった人にそんなことを言われ、私の口は勝手に動いていた。

「あの、よろしくお願いします。こんな私でよければ」

「うん。こちらこそ、よろしく」

卒業式の日、こうして私と先輩は付き合い始めた。
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