秘めた想いが実るとき
「いろいろ考えてくれてありがとね。でも、その件は自分で何とかするから大丈夫だよ。だから、もう美優ちゃんは気にしないでいいからね」
あまり触れないで欲しい話だけど、お見合いのことを喋ってしまった手前、強く言えない。
だから、大丈夫だと言っておけば、もうその話もしなくなるかなと考えた。
気にかけてくれるのは嬉しいんだけどね。
「分かりました。唯香さんがそう言うなら」
「美優、そろそろ行くけど」
「あ、はーい。じゃ、唯香さんお疲れさまでした」
小松さんに呼ばれた美優ちゃんは、軽く頭を下げて私に背を向けた。
その小松さんは更衣室のドアのところに立っていて、こちらを見る。
「今日は残念だけど、また行きましょうね」
「はい。次回は絶対に行くので誘ってくださいね」
私の言葉に了解と右手をあげ、美優ちゃんと一緒に更衣室を後にした。
私は、メイクポーチをバッグにしまうと、まだ着替えをしていた人に挨拶をし、待ち合わせ場所に向かった。