秘めた想いが実るとき
「こうして再会出来たのも何かの縁だと思うし、俺たちやり直さないか?」
りっくんは意志を持った強い瞳で、真っ直ぐに私を見つめる。
「唯香と付き合った一年はすごく楽しかった。話し合って納得した末に別れたけど、俺はやり直せるなら唯香ともう一度やり直したいと思ってる。すぐに返事はしなくてもいいから、ちゃんと考えて欲しい」
真剣な眼差しとその言葉に心を打たれる。
私が朔斗のことを好きじゃなかったら、頷いていたかも知れない。
でも、自分の気持ちには嘘はつけない。
断るなら早い方がいいと思う。
だけど、考えて欲しいと言われ、この場で即答するのは失礼な気がした。
「見合いは日曜だろ。俺、その日は一日空いてるからいつでも連絡してくれればいいからな」
「うん、ありがとう」
私が答えれるのは、これが精一杯だった。
「じゃ、この話は終わり。久々の再会なのに重苦しい雰囲気にはしたくないからな」
りっくんは笑顔を見せる。
付き合っている時、いつもこの笑顔に癒されていたのを思い出す。
「そういや、俺の会社もうすぐ社員旅行があるんだよ」
ガラリと話を変えてくれ、一切さっきのことには触れることなく穏やかな時間を過ごすことが出来た。
りっくんの気遣いに心から感謝した。