秘めた想いが実るとき
「笠井さん、お代わり」
「おいおい、今、朔に飲み過ぎるなと言われていただろ」
「全く酔ってないから大丈夫です。と言うことで、お代わりください!」
「仕方ないなぁ」
渋々、といった感じで笠井さんがグラスを手に取った時、ドアベルがカランと鳴った。
「こんばんは~」
「お、柚ちゃんか。いらっしゃい」
「あー、今日は笠井さんいるんですね」
朔斗と入れ替わりで入ってきたお客さん。
どうやら、この子も常連みたいだ。
「あれ?朔ちゃんは?」
「あぁ、今買い出しに行ったよ」
「えー、そうなんですか?入れ違いか。あ、モスコミュール下さい」
「はいよ」
柚と言われた子は私と席を三個開けて座った。
この子、朔斗目当てで来ているんだろうか。
年齢は、そうだな……二十代前半ぐらい?
肩までの髪の毛をシュシュでまとめ、メイクも濃くなくナチュラルに仕上げている。
美人というより可愛いといった印象だ。
「はい、お待たせ」
目の前にジンライムのグラスが置かれ、ハッとした。
つい、あの子を観察してしていた。