秘めた想いが実るとき
「見合いってやったことないから分からないけど、自己紹介から始めるんだろ?今からするか?」
呑気にそんなことを言う。
ちょっと待ってよ。
頭の中が混乱していてまともに考えられない。
私のお見合い相手が朔斗ってどういう事なんだろう。
「ご注文はお決まりですか?」
「すぐに出るので結構です」
注文を取りに来たカフェの店員に朔斗は笑みを浮かべ断る。
「何で朔斗が私のお見合い相手なの?お母さん、そんなこと一言も言ってなかったよ」
「それは、俺が和也さんに頼んで代わってもらったんだよ」
「お兄ちゃんに?ねぇ、どうしてそんなことしたの?」
いきなりお兄ちゃんが出てくるし、疑問だらけだ。
「どうしてって、理由なんてひとつだろ。ここじゃアレだから、そろそろ出るか」
私のレシートを持ち立ち上がる。
ちょっと、話の途中でしょ!
それにまだコーヒーを飲み終わってないんですけど。
朔斗はレジで支払いを済ませると、私の手のおもむろに握る。
そのまま引きずられるようにホテルを出て、停めてあった朔斗の車に乗り込んだ。