秘めた想いが実るとき
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連れてこられたのは『ダークムーン』。
店内に入り電気をつけると、朔斗はスーツの上着を脱ぎながらカウンターの奥へ消えて行く。
私は戸惑いながらも、いつもの席へ座った。
「ケーキ、食べるか?」
朔斗はトレイを手に奥から出てきた。
トレイの上のお皿には、ブルーベリーチーズタルトがのっていて、私の前に置く。
「このケーキ、どうしたの?」
「俺が作った。本当は昨日食べようと思ってたんだけどな」
ティーカップに紅茶を注ぐ。
湯気が立ち上り、紅茶のいい香りが鼻をくすぐる。
「昨日って……」
そういえば私が暴言を吐いて飛び出したんだ。
「お前、誕生日に俺の作ったケーキが食べたいって言ってただろ」
朔斗は私の隣りに座る。
確かに言った。
自分の誕生日の話をして、その時に朔斗の作ったケーキが食べたいって何気なく言ったんだ。
そしたら『俺はケーキなんて作ったことがないから無理』ってアッサリ却下されたのに。
誕生日をちゃんと覚えてくれていたことだけでも嬉しいのにケーキまで作ってくれてたなんて……。
昨日のことを思い返すと、感情的になって態度が悪かったよね。
「ごめんね……」
「いや、俺も悪かったし気にすんなって。ほら、食べろよ」
フォークを手渡してきて食べるように勧めてくる。