飛べない翼
新米は私を車椅子に座らせると、後ろに回って押した。


カラカラとゆっくり動かされ、私は連れられて部屋を出た。


病室から出たのなんて、いつ振りだろうか。


「さて、何処にいきましょうかねぇ、さっちゃん?」


「……別に。私は出たくなかった」


「はは。まあ、そう言わないで。中庭にでも行ってみましょうか」


私の言葉は聞き入れず、新米は中庭へと向かっていく。
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