飛べない翼
ポツリと、そう漏らした新米。


私は怪訝な顔を向けて、「会えば良いじゃない、別に」と言った。


……言ってしまった。


けれど、すぐに後悔した。


「会えないんですよ、残念ながら。亡くなっていますからね。もう、十年も前の話ですか……」


”亡くなっていますからね”


その言葉が、頭の中で繰り返しこだました。
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