飛べない翼
「家族にも友人にも拒絶されて、やり場の分からない感情と向き合うのは、怖かったでしょう? 大丈夫。分かっているから」


「……ふっ、うぅ……っ」


私は腰を折り曲げて、嗚咽を堪えていた。


そんな私の背中を擦りながら、新米は言葉を紡いだ。


「誰を責めたい訳でもないのに、けれど納得出来ない自分が嫌で嫌で仕方がなかったのでしょう? けれどそれが普通なんですよ。君一人がおかしい訳ではない。当然の感情なんです」


氷を、解かしていくように。
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