飛べない翼
ひ弱な担当医
沙羅said
ーーカラカラカラ……。
小さな音を立てて、私は車椅子を動かした。
向かっているのは中庭。
人気のない場所だ。
そして、この病棟で自室以外での唯一の落ち着ける場所。
そこに向かうのは、もう習慣のようになってきていた。
「おや、さっちゃんじゃないですか。また中庭ですか? 僕も付いていきましょう」
小さな音を立てて、私は車椅子を動かした。
向かっているのは中庭。
人気のない場所だ。
そして、この病棟で自室以外での唯一の落ち着ける場所。
そこに向かうのは、もう習慣のようになってきていた。
「おや、さっちゃんじゃないですか。また中庭ですか? 僕も付いていきましょう」