谷穴町のよろず屋
イジメと幽霊の呪い


『………早く来て……』


セーラー服の少女が囁きながら俺の首に手を伸ばし、人の体温など全くない凍えた指先が首に触れた……………

(…………)

それまで、俯いていた少女が顔を上げる。

その顔は確かに笑っているが、目玉はえぐれ、歯はバットで何回も殴られたのかと思うほど粉々に折れている。

そうして少女はまるでキスでもするかのように、えぐれ目玉も何もない目を閉じ血が滴りもはや殆ど原型さえ止めていない顔をゆっくりと近づけてくる。

血まみれの顔が日に日に自分との距離を詰めていることに不快感を覚えながら夢の終わりを静かに待った。








「……………っ!」


最近朝の目覚めは最悪だ、気温もだいぶ落ち着いて秋の空気が部屋中を満たしているなか、自分だけまるで真夏にクーラーなしで寝たかのように汗で濡れていた。

毎日のように肌にはりつくTシャツに慣れてはいるものの、不快なのはかわらず朝から低血圧でただでさ悪い機嫌がさらに下がる。
しかも、これが2ヶ月前の16歳の誕生日を迎えてから毎日となると気味が悪いのを超えて苛立ちが勝ってくるから不思議なものだ。


遠山 涼夜(とおやま りょうや)、16歳


気味が悪い悪夢に睡眠を妨害されている………


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