愛し、愛されたのは優しい死神でした。

「ぇえ。…私は月を見るのが好きなんです…今日の様な満月は特に。そんな月を貴方と静かに見られるなんて喜ばしい事だったんですが…岳がムードをぶち壊しましたからね…!」

『じゃあ…もしかしてっ…』

「…その…岳に少しイラついただけです。…私も大人気なかったかもしれませんね…すみません…」

拍子抜けしたような…安心したような…。でも言葉とは裏腹に、なかなか体の震えは止まらなくて…力も入らない状態だ。


「…どう詫びれば良いですか?貴方をこんなに怖がらせてしまった…」

律さんの顔が切なく歪んだ。背中を撫でる動作も止まり、じっと私の顔を覗き込んでる。


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