愛し、愛されたのは優しい死神でした。
忍び寄る悪しき者。
―小説を読み始めて…どれ位の時間が経っただろうか…?
気が付いた頃、辺りは真っ暗になってしまっていた。
『っ…いけない…カーテン閉めなきゃ…!』
いくら庭があっても、カーテンを閉めなくちゃ道路から部屋の中が丸見えだ。
慌ててカーテンを閉めて、再び読書に集中しようと小説を開いた時だった。
―カリ…カリカリ―
聞きなれない何かを引っ掻く音。私は音がする方に視線を向けた。