愛し、愛されたのは優しい死神でした。

…弱さも甘えも、全部受けとめて悲しみも喜びも一緒に分かち合う―そんな役割を受けたかった。

色々な気持ちが爆発しそうになった時、耳を疑った。

(律さーんっ!岳ーっ!!)

髪を撫でていると、どこからともなく聞き慣れた声が頭の中に響いてきたんだ。

「っ?!この声ルナじゃない?!でも今叫んだのはルナの体じゃない…って事はまさかっ…?!」

するとまた名前を呼ぶ声が聴こえてくる。

(…律さんっ―!)

「…意識だけ天界に行ったな。…岳行くぞ」

「―俺は行かない」

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