グリーン・デイ
僕は夢を見た。きっとその夢が僕の知らなかったことで、それをこの木が教えてくれたんだと思う。
もちろん、本気でそんなことを信じているわけじゃない。それこそまるで、幻想世界のような出来事で、何とも安っぽい。
正直に言うと、僕はそうだと思いたいだけなのだ。
夢の中で僕の手を取ってくれたか細く白い手に僕は覚えがあった。人工呼吸をしてくれた唇の味に僕は覚えがあった。そして、それをしてくれた少女に似た女性を僕は知っていた。
夢の中だから、ただ単に美化しているだけかもしれない。しかし、これが本当にこの木が教えてくれた、僕の知らなかったことだとしたら____。
思わず笑ってしまった。何だかつまらないことを憶測で考えていたような気がして、一人、満月の下の琵琶湖のほとりでゲラゲラ笑った。何やってたんだ、僕は。まったく、どこまで冷めきった人間だったのだろう。恥ずかしくって、くすぐったくて、どこか嬉しくて、むずむずした。