グリーン・デイ
「それで、生きてるの?」
「この通り、生きてるさ。」
「それはよかったわ。生きていてくれなきゃどうしようかと思ったわ。」
「今どこにいるんだ?」
「それはこっちのセリフよ。私は今、三鷹にいるの。そこで今月、独立してジャズ喫茶を開く予定なの。資本金500万円とほんの少し両親から借金してね。私が経営者よ。コーヒーの淹れ方はもちろん、経営も少しは学んだし、接客も難なく熟せる自信があるわ。ただ、どんなに頑張っても私には出来ないことが一つあるの。肝心のジャズよ。あなたギター弾けるわよね? どう? 私とこじんまりしたジャズ喫茶で残りの人生送ってみない?」
「それは口説いているのか?」僕は嘲笑するように言った。
「あら。こういうことは、あなたが言うべきセリフなのよ? 私にこれ以上恥をかかせるあなたは、最低だって世の中の女子はみんな口を揃えて言うでしょうね。でも、私はそうは思わない。そういうあなたが好きだもの。」
「ジャズか。ちょうど京都でもらったギターでジャズを始めたところなんだ。」
「あら、偶然というか、運命というか。」
僕はケータイを左手に持ち替えた。
「キミは僕に居てほしいかい?」
「あなたこそどうなのよ?」
苦笑いが止まらない。
「居たいとも。」
「私も。」