グリーン・デイ
「私は確かにあなたのことが好きよ。何度も言うと信憑性が低いように聞こえるかもしれないわね。でも、何度も言っておかないと私とあなたを繋ぎとめるものが何もなくなってしまうような気がするの。例えば、明日の朝にでもあなたが焼きたてのトーストを地面に叩きつけて私に出て行けって迫るんじゃないかって、心配になるの。だって、あなたは私のことを愛していないから……。」
「たとえ愛はなくてもそこまで非情じゃないよ。」
「そうね。あなたならきっとそう言うと思ったわ。優しいもの。まだ出会って24時間も経っていないのに変な話よね。まるで、昔から知っていたみたいに私はあなたのことが手に取るようにわかるもの。もしかしたらあなたと私は前世で特別な関係だったのかもしれないわね。」
僕もそうじゃないかと思い始めていた。幻想世界にはありがちな設定で、しかし壮大過ぎるし、何よりそんなことをアヤカに言ったところで、鼻で笑われるだけだと思っていた。僕のことを失望して、それこそ明日の朝にでも自分から出て行くと言い出すかもしれない。それはそれで僕にとっては好都合なのだが、自分を低く見られることだけはどうしても避けたかった。
「そう思い込みたいだけじゃないのか?」
「かもしれない。でも、そう思い込みたくさせるのは紛れもなくあなたよ。」
僕は軽く伸びをしながら欠伸交じりに訊いた。