グリーン・デイ





「で、僕の横で寝たい真の目的ってやつは何なんだ?」



「そうだったわね。お風呂上がりにも言ったけど、私はあなたにまず容姿から知ってもらいたかったの。ちょっと乱暴なやり方だったとは思うわ。でも、それは達成できたと言ってもいいでしょう。問題は内面なのよ。今度は私の内面を知ってほしいの。私は何が好きで、何を基準に服を選んでいるか、朝焼けを見て何を思うか、猫の死骸を見つけたらどうするかまでね。ただ、それを語っているととても一晩じゃ収まりきらないと思うの。それを一晩に収まる範囲で簡潔にまとめられる何か手っ取り早い方法がないかなってずっと考えてた。まあ、恋に対して、手っ取り早く済ませるようなことはしちゃいけないって思ったんだけど、心は正直なのよ。私は1日も早くあなたと相思相愛になりたいの。」



「それで?」



「私の出した結論は、こうだった。私の過去を話せばいいんじゃないかって。今までどんな暮らしをしてきたかとか、それについてどう思っているかとかね。それを聞いてもらうことで自ずと私という人間がどういう人間なのか垣間見てもらえるような気がするの。でも、そういう話って普通、修学旅行の夜にひそひそ声でする恋バナのように話すのが普通でしょ?」



「そうかもしれない。」と僕は答え、テーブルにあったアヤカの煙草に手を伸ばした。



「でも、そこまでは望まない。あなたの意見も尊重したいもの。だからせめて私の過去の話をこの距離で聞いてくれるだけでいいの。それじゃダメかしら?」



 なぜ煙草に手を伸ばしたのかわからない。ただ、こういう話は煙草を吸いながら聞くようなものだと思ったのだ。煙草にライターの火を近づけた。しかし、煙草には火は付かなかった。仕方なく、火のついていない煙草を咥えて雰囲気だけでも味わうことにした。



「いいよ、聞くよ。」



「ありがとう。」



 そう言って、アヤカは一語一語絞り出すように語り始めた。




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