グリーン・デイ





 私は公立の底辺の高校へ進学したわ。それはそれは底辺だった。



 学校の内側に有刺鉄線が張り巡らされていて、校門前には常に警備員が二、三人いたわ。学校を抜け出す生徒がいないように、他校の生徒が喧嘩をしに来ないようにってね。入試問題も名前を書けば入れるような、本当に底辺の高校だった。



 授業が毎日自習のような賑わいで、空席が後を絶たず、その空席に埋まりきらないほどの落書きが学校中にあったわ。私の高校生活の匂いは、煙草とシンナーとスプレー缶の混ざり合ったようなものね。私が煙草を吸ったのも、この時期のことだったわ。友達に勧められて吸ってみたら、意外とよかった。今では大変後悔しているのだけど……。



 でもそんな環境下でも、六大学のどれかには入れると太鼓判を押される私は、本当に優秀なんだなって思うわ。



 私はもちろんその六つの選択肢を全部蹴って今の大学に進学した。こんなことを言うと、この大学に通っているあなたを馬鹿にしているように聞こえるかもしれないけれど、私からすると本当に底辺なのよ。



 それはあなたも理解してくれると思う。だから言うんだけど、あなたは私と似通ったところがあるにも関わらず、なぜこんなFランクの大学にいるんだろうって。



 きっとあなたは優秀よ。すごいだけじゃなく、優秀なの。育ちの良さも話し方で出ているし、かと言って優秀過ぎず、周りと温度を合わせられる気質もある。



 ただ、自分の中で或る程度線引きしてあって、自分にマイナスになる人とは関わろうとしない。そんなあなたと私がどうして出会ったんだろうって。偶然というにはあまりにも出来過ぎているわ。」




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