グリーン・デイ
それにもかかわらず、僕はアヤカと出会ったその日のうちに、59000円の1DKのアパートで一緒に暮らすようになった。もちろん、そこには愛はなかった。
僕は電車で30分かけて大学に行き、講義を頬杖を突きながら聞き流し、書店に寄って2、3冊の本を買って、それを近くのカフェでロイヤルミルクティーを飲みながら読んだ。軽音サークルに入っていたこともあり、部屋ではよくギターをかき鳴らしたし、いい歌詞のフレーズが思いつくと、スマホのメモ帳にメモしたりした。
アヤカはというと、大学へはまったく行かず、代わりにコンビニやカフェでのアルバイトに明け暮れた。バイトが休みの時は、ベッドに横たわって僕の本を適当に読み漁り、また女にしては珍しく____これは僕の周りにいる女と比較すればの話だが、____ヘビースモーカーで、日に一箱はメビウスを開けた。
趣味を共有することはほとんどなく、おまけに煙草の匂いを極端に嫌っていた僕と、金魚で言うところのエアポンプくらい煙草を必要としていたアヤカがどうして一緒に暮らすことになったのか。
それは「成り行き」という言葉で表せるほど、簡単ではない。しかし、誰かに説明するなら「成り行き」と言ってしまったほうが早いだろう。