グリーン・デイ
「ところで、キミの両親……いや、育ての親と言うべきか。なぜ政治家と小説家になれたんだ?」
「父は公募に応募。元々素質はあったと見ているわ。母に関しては、確かに私は母の小説が嫌いと言ったには言ったけれど、100人いれば100通りの考え方があるでしょ? それと一緒であくまで私一個人の意見に過ぎないわ。」
「つまり、キミはその小説を読むよりも前に、カフカやマルケスに出会っていたんだね。音楽と同じで、心を打たれるような自分の中で最高の音楽に出会ってしまうと、それから出会う音楽が物足りないものに思えてくるものだ。経験があるから僕にもわかる。」
アヤカはダイニングの電気をつけた。引き戸から白熱灯の光が漏れている。それからコップ1杯の水道水を飲み、隔てていた引き戸を開けた。
「やっぱり隣で寝ていいかしら?」
僕はアヤカに背を向け、身体を捩らせてスペースを作った。