グリーン・デイ





 入れ違いになる形でアヤカがコンビニ袋を引っ提げて帰ってきた。「ただいま。」と自然に言われ、僕も「おかえり。」と自然に返していた。もうアヤカとはそういう間柄なのかもしれない。頭の奥の方が妙に緊張していて、さっきまでなかった、素直になれないというか、心から自分を出し切れないと言った感じがこみ上げてきて、ストレスに繋がりそうだった。



「パンティーはあったんだけど、ブラがなくて……まあ、家にいるときはつけないし、講義がある日にハンズでも行けば売ってるわよね。」



 アヤカはその場で僕の貸した黒のサルエルを脱ぎ、それから僕の貸したトランクスを脱いだ。そして買ったばかりの水色のパンティーを膝下くらいまで履いたところで、僕の方を見た。



「何見てるの?」



 僕からしたら「何見せてるの?」なのだが、アヤカのこれは、金魚が泳ぎながら糞をするのと同じ、普通の行為であり、気にも留めていないようだった。そこが変わっているというか、少なくとも、ダイニングの真ん中でこんなことをした人は、僕が過去に付き合ったことのある女性の中ではいなかった。




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