グリーン・デイ





 12:00を過ぎ、腹が減ったので、昼食をとることにした。



 アヤカが「お寿司が食べたい。」と言い、僕も食べたかったので、回転寿司に行くことにした。しかし、この近くには寿司屋はなく、電車で2、3駅ほど跨がなければいけない。



 アヤカと初めて会話した電車とは逆方向の電車に乗り、それから考えた。ただ、寿司を食べるだけではつまらないと思ったのだ。



 回転レーンの上で大トロやはまちやアンキモ軍艦が流れ、はまちを選んで皿をとり、それを口に運ぶ。なくなったらまた新しい皿に手を伸ばす。次は大トロかもしれないし、甘えびかもしれない。アンキモ軍艦は4皿目くらいに行きたいのでここではない。そして、お互いに10皿程度平らげお金を払う。割り勘かあるいは僕のおごり。もしかするとアヤカが



「居候の身だから。」



 と言っておごってくれるかもしれない。僕はそれを一度は遠慮する。しかし、アヤカは決して折れることなく、僕もその好意をありがたく受け取る。それからアヤカは外の喫煙所で煙草を吸い、それを僕が待つ。そして、電車に乗って帰宅する。



 結末が垣間見える小説ほど面白くないものはない。緊張と、緩和とが互いに引き立て合う。それこそが名作だし、この先の人生もそんな名作であってほしい。




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