気になる彼は、左利き!?
今、なんて言いましたか!?
しかし柏木さんは、ニコッと微笑むと
「じゃあ、またね」と言い去って行った。
あれは……なんだったのだろうか?
聞き間違い?
いや、でも……えぇっ!??
頭の中が混乱する。
まさかあの女性に人気の柏木さんに言われるなんて
誰が思うだろうか。
こんな地味な私に……。
心臓がドキドキと高鳴ってしまう。
部署に戻るとそのことを美久と紗江に話した。
『えっ~!!柏木さんにそんなことを
言ってきたの?』
「ちょっと、声大きいから」
慌てて止めると
課長に咳払いをされる。
あ、ほら。課長に睨まれちゃったじゃない!!
慌てて仕事を始める。すると紗江が
「で、どうなのよ!?
もし柏木さんが明里に気があったら、あんた
どうする気なのよ?」
ニヤニヤしながら聞いてくる。
「そうなの……決まってるじゃない。
私が好きなのは、池上さんだし」
柏木さんは、カッコいいし素敵な人だと思うけど
好きなのは、池上さんなのだ。
「でも、やっぱりあの噂は、本当だったのね」
美久が溜め息混じりに言う。