気になる彼は、左利き!?

両親は、右利きに直させるつもりだったから
でも、左手の方が切りやすいから右用のハサミを
ずっと使っていたのよね。 

「へぇ~使いにくくなかった?」

「最初は……でも、慣れてくるとこちらでも
対応出来るようになりました。
慣れ過ぎて返って左用のハサミの使い方が
下手になってしまって」
苦笑いしながら伝えた。

実際そうなのだ。
上手く切ろうと思っても刃の向きが逆で 
やりづらくなっている。

「へぇ~やっぱり一ノ瀬さんは、
手先が器用なんだね」
感心したように言ってくれた。

「そ、そんなことありませんよ……」
慌てて否定をする。器用だなんて……

「アハハッ……一ノ瀬さんは、謙遜だね。
でも、俺も右用にも慣れておかないとなぁ~
いざ右用しか無かった時に困るし」

「まぁ……そうですね」
そう言ったものの心臓は、ドキドキと高鳴っていた。
池上さんに器用だと言われてしまった……。

これって、何気にアピールが出来ている?
器用って……武器になるし。

「でもさ~俺にもプライドとかあるんだよね」

「プライド……ですか?」
人当たりのいい池上さんにもプライドとか
あったんだ?意外だと思った。

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