気になる彼は、左利き!?

涙でぐちゃぐちゃな姿を見られるなんて
最悪だ。

「どうしたんだ!?泣いたりして?」
私の顔を見ながら驚いた表情をする柏木さん。

「あの……違います。泣いたりなんかしてません」
必死に隠しながら言うのだが、バレバレだった。
あぁ、本当に情けない。

自分のみっともなさに余計涙が溢れてくる。
すると柏木さんは、私を強く抱き締めてきた。

えっ……!?

驚いていると柏木さんは、
「泣いている女の子を
ほっておくことなんて出来ない。
それが一ノ瀬さんなら、なおさらだ」
私にそう言ってくれた。

まさか、柏木さんにそんなことを言われるなんて
思わなかったからなおさら驚く。

「柏木……さん?」

そうしたら向こうから
「一ノ瀬さーん?一ノ瀬さん……」
池上さんの声が聞こえてきた。

あ、池上さん……!?

走って逃げちゃったから捜しに来てくれたんだ?
どうしょう……逃げてきちゃったから顔を合わせづらい。
胸がまだズキズキと痛みだす。

< 28 / 67 >

この作品をシェア

pagetop