気になる彼は、左利き!?
戸惑っていると
柏木さんは、私の手を引いてきた。
「こっち……」
そう言いながら強引に連れて行かれる。
「えっ……ちょっと!?柏木さん!!」
向かった先は、アウトレットのはずれだった。
どうして?私を連れ出してくれたの!?
動揺をしていると柏木さんは、
「ここまで来れば大丈夫だろう。
さっきの声は、池上だよね?
やっぱり付き合ってたの?」
「ち、違います。
付き合ってなんか……いません」
本当は、これからそうなるのを期待していた。
せっかくいい雰囲気になりかけていたのに……
最悪なデートになってしまった。
思い出しただけでもまた涙が溢れてくる。
すると柏木さんは、私の頭を撫でながらニコッと
微笑んでくれた。
「色々事情があるよね。
そうだ。そこに喫茶店があるから
少し休憩しようか?泣いていたから喉が渇いただろ」
「…………。」
私は、小さく頷いた。
確かに泣いたせいで喉がカラカラだ。
喫茶店の中に入っていくと
柏木さんは、私にアイスコーヒーを注文してくれた。
気が利くし、優しい。
女性にモテるのも頷ける。