気になる彼は、左利き!?

それに母からは、
左利きは、行儀が悪いと叱られてきたけど
池上さんは、姿勢もいいし箸の持ち方も綺麗だ。

むしろ右利きでも
箸の持ち方が悪い人の方が行儀が悪いと思うけど……
そう思いながら自分も食べ始める。

すると池上さんが
「ねぇ、君も左利きなんだね?」
嬉しそうに私に話しかけてくれた。

「は、はい。左利きです。
右も親に矯正させられて使えますが……やっぱり
左の方が使いやすくて」
照れながら自分が左利きだと打ち明ける。

そうしたら
「えっ?両利きなの!?すげぇ~俺は、全然ダメ。
親が直させようとしたけど、断じて拒否った。
親も途中で諦めたから、左しか使えないんだよね」
アハハッと明るい口調で話してくれる池上さん。

断じて拒否ったって……凄い。
私が、そんな事をしたら大変な事になるのに。

「それにさ……勿体なくない?」

「えっ……?」
何が勿体ないなのだろうか?
不思議に思い首を傾げると池上さんは、

「だって、左利きも立派な長所じゃん。
そりゃあ、正式なマナーや不便な事もあるけどさ
別に良くない?せっかく左利きに生まれたら
それを上手く活用しなくちゃあ!!」
力強く解説してくる。

私は、その言葉に驚いてしまった。
両親から無理やり直させようとか
恥ずかしいと言われ育ってきたせいか
彼の言葉は、衝撃的だった。

「左利きは、天才が多いと言うじゃん?
スポーツ選手だって、左利きの方が有利になったりするし。
あと覚えてもらえやすい」

「……はい?」
何となく言いたいのは、理解したけど
覚えやすいとは……?

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