気になる彼は、左利き!?
負けない……池上さんのためにも。
「お母さん……私は、ずっと疑問に思ってたの。
何で左利きなのにわさわざ右利きに
直させられるのか?
嫌で嫌で仕方がなかったわ」
「それは、あなたにちゃんとした躾をしようと思って」
「躾って……何?
自分自身の特徴を塗り潰すことが躾なの?
今は、左利きの人達も増えてきたんだよ。なのに
わざわざ悪いことの用に教えるのが正しいの?」
そんなの間違っている。
「子供のあなたには、分からないでしょうけど
正式なマナーで恥をかくのは、あなたなのよ!?
字の書き方だって正しい基準だと書きにくくなるし
昔から左利きは、矯正するのが当たり前なのよ。
出来なかったのは、親が結局甘やかしているだけよ!!」
「だったら、結局直らなかった私も
甘やかされて育ったんでしょ?私は、ずっと
左利きでやってきたもの」
私は、強い口調で言い返した。
お母さんは、黙る。
「私は……お母さんに言われた通りに直そうとした。
でも、違和感を覚えるだけで直らなかったわ。
逆に両利きになっただけ。
でも今は、直らなくて良かったし
むしろ左利きに生まれて良かったと思えたの」
「こうやって池上さんに気づいてもらえた。
私も同じ左利きだったから池上さんに
気づくことが出来たわ。
凄いのよ……同時に同じ事を想ってたんだから。
だから私も左利きの自分を大切にしたい。
誇りを持ちたい……これが私なんだって。だから
お願いお母さん。この交際を許して下さい!!」
私も同じように深々と土下座をした。
自分の誇りにかけて