気になる彼は、左利き!?
「梨乃!?どうしたんだ?」
池上さんは、梨乃さんの訪問に驚いていた。
私も……驚く。
一体何しに来たのだろうか?
「今日は、裕君に夕食を作ってあげようと思って
ほら、材料も買って来たのよ!」
ニコニコしながら材料が入っていた買い物袋を
差し出してきた。
えっ……?
夕食を作りにって……
「梨乃。だから、いつも言ってるだろ!?
いくら来ても家に入れられない。
君のことは、妹みたいにしか思えない」
池上さんは、真剣に梨乃さんに伝えた。
「池上さん……」
「何で!?
私は、ずっと裕ちゃんの事を好きだったのに。
何で受け入れてくれないの!?そんなに
私は、魅力がないって言うの」
泣きながら訴えてくる梨乃さん。
その言葉に胸がズキッと痛む。
私のせいでもあるから
すると池上さんが
「……梨乃ごめん。俺は、一ノ瀬さんが好きなんだ。
今日向こうの両親とも会ってきた。
結婚前提に付き合ってる。だからもう君とは
二度と会わない」
梨乃さんに向かって言った。
それが、池上さんの本心。
凄く嬉しいはずなのに胸が苦しい。
「そんな……酷い。
酷いよ……裕ちゃん。私の気持ちなんて……」
泣きながら走って行ってしまった。