気になる彼は、左利き!?

「梨乃!?」

「梨乃さん待って!!」
私は、慌てて梨乃さんを追いかける。
何故追いかけたか分からない。

とにかく追いかけないといけないと思ったからだ。
「一ノ瀬さん!!」と呼ぶ
池上さんを無視して追いかけた。

「ま、待って!!梨乃さん……」
息を切らしながら名前を呼ぶ。
意外と足が速い……。

「ちょっとついて来ないでよ!?」
後ろで必死に追いかけてくる私に驚く梨乃さん。

「だったら、止まって下さい。
私は、梨乃さんと……ちゃんと話がしたいんです」
あまり足の速くない私は、必死だ。

しかし途中で派手に転んでしまった。
ドサッと倒れ込む。痛い……。

「もうあんた。どんくさいわねぇ~」
梨乃さんは、それに気づくと呆れたように
近づいてくれた。

「痛ってて……でも、お陰で梨乃さんが
止まってくれました」
えへへと笑ってみせる。
本当は、ヒリヒリして痛いけど……。

「はぁっ?驚いて止まっただけよ。
勘違いしないで。
誰が裕ちゃん以外の人のためなんかに…」
ムスッとそっぽを向いてしまった。

でも、止まってくれた。
本当は、自分の気持ちに素直なだけで
嫌な人じゃないのかもしれない。

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