気になる彼は、左利き!?
「マウスとか右利き用ですよね。
私も使いづらくて……」
「そうそう。エンターキーも右にあるせいか
やりにくい。
俺……何回か左でやろうとして……あれ?
マウスがない!?ってなったことがあるんだよな。
もっと凄いのは、学生の時……隣同士が狭くてさ
うっかり左側の奴のマウスをポチっと押したことがあるよ」
「えぇ~それは、さすがに無いでしょう?
隣のマウスって……どんだけ狭いんですか!?」
笑いながらツッコむ私。
「いやいや、マジだって。
あとさ~缶切りを使う時とかマジ困るんだよね。
こう切る部分が逆で切りにくくて
何とか切ろうと奮闘していたら友達に
”何やってんだ?お前……〟と言われたり」
彼と左利きあるあるは、面白くて仕方がなかった。
共感するのも多かったし
何より同じ考え方をしてるのが嬉しい。
たくさん笑い合ったら
あっという間に時間が過ぎてしまった。
「あ、もうこんな時間か。
話していると時間が過ぎるのも早いよな」
「そうですね。それそろ戻らないと……」
何だか残念な気持ちになる。
せっかく話せるチャンスが出来たのに。
「あ、そう言えば君の名前。
何て言うの?」
えっ!?
急に名前を聞かれドキッとする。
「私は、一ノ瀬です。一ノ瀬明里」
「一ノ瀬さんか。可愛い名前だね。
俺は、知っての通り池上裕一だ。
左利きを見ると親近感が湧くから一緒にお昼食べれて
嬉しかったよ。これっきりと言わずに
また見たら声でもかけてよ!」
照れたようにニコッと笑って言ってくれた。