心に届く歌
「ドク、あなた泥棒じゃないわよね」
「まさか。
犯罪をするつもりはありませんよ。
鍵を開けた時の音が、昔から好きなだけです。
父が元々鍵開け職人でしたので」
「今度詳しく聞かせてちょうだい」
「はい」
わたしは扉を開けた。
扉の向こうは、電気のない真っ暗な空間だった。
「ドク、懐中電灯あるかしら」
「はい」
懐中電灯を受け取り、パッと辺りを照らす。
そして大して広くもない部屋の真ん中で、シエルが倒れているのが目に入った。