心に届く歌
-3- Tear
☆シエルside☆
暖房器具のない部屋は、酷く寒かった。
だけど、今はすごくあたたかい。
「シエル。良かった!」
僕の手を握りながら笑うのは、
ソレイユ王国100代目正統王位継承者である
エル・ソレイユ様。
何故か、僕の手を両手で握っていた。
こうして誰かに手を握られるのは、2度目だ。
「額、触れるね」
「いっ…いやです……」
「前髪上げないから。
熱あるか見たいだけだから。良い?」
「……わかり、ました」
額に他人の手が当たる。
それだけで体がどうしようもなく震える。
いつから僕は他人から触れるのに、こんなにも恐怖心を覚えてしまったのだろうか。